心を動かす「春」の声

ph_Tips22

桜が満開となった地域も多いですね。
桜が咲くことで、やっと春を感じられる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

桜を目にすることで、何だか嬉しくなる、ワクワクする、元気づけられる、やる気になる、優しくなる、安心する。一方で卒業式を思い出してちょっと切なくなる、散り始めると寂しい気持ちになるなど、いくらでも桜で情緒を表現できる言葉は出てきそうです。

それは桜の姿、形以上に、何よりも視覚に作用する「色」の持つ力によるものです。海の色、山の色、空の色、景観に感動するのと同じように、桜の色に人は元気づけられます。もしかしたら、元気になるのは人だけではないかもしれませんね。

そして、聴覚に作用する「音」「声」にもそのような力があります。
桜のように、「声」で春らしさを感じてもらうには、いったいどうしたら良いのでしょう。

 

1.背中を美しく

春は身体の変化が大きい時期。縮こまった身体が少しずつ緩んできます。それを後押しするように、自ら身体を動かしながら、積極的に緩めていきましょう。特に大切なのは背中。背中の弾力を取り戻すことで、呼吸が整えられ、響きやすい身体になります。姿勢も美しくなることで、春らしい明るく高い声も出しやすくなります。美しい響きは美しい身体から。その身体の響きが、相手の心を動かすのです。

 

2.音は高く、響きは深く

春は中域から高域の声を使うことがたくさんあります。中域の温かさと高域の冷たさが春の体感にあっているからです。「新しい」とか「桜」とか、少し高めの音が似合うからです。高い音は光をイメージでき、光から希望、生命へとイメージがふくらんでいきます。

ところが、音が高いだけでは耳障りになったり、幼稚に聴こえてしまうこともあります。大切なのは声の響きの深さです。
声には、実際に出している高さの音よりも、もっと高い音がたくさん含まれています。その配合の違いが、人それぞれの声の音色の違いです。

響きの浅い声というのは、その高い音ばかり優位に聴こえている状態です。反対に響きが深くなると、音が高くても、音色が低く感じられます。その低い響きは、大地や森、海をイメージさせ、それが温かさや安心感、信頼感へとつながります。そこに光をイメージできる高い音が混ざる事で、より美しい音色になります。日本人は、そのように音が高く響きの深い音を好む傾向にあります。

 

3.春のほのかさ、はかなさ、軽やかさ

「ほのか」な花や草木の香り、新しい生命の彩り、そして心の「軽やかさ」も春の特徴です。桜の印象の一つも「軽やかさ」や「はかなさ」ですね。

響きが深すぎても、少し重い印象を与えてしまいます。そして、実態がはっきりしてきます。「ほのかさ」「はかなさ」「軽やかさ」を感じさせるには、イメージに合う、響きの適度な深さが大切です。

とはいえ、あまり考えすぎず、イメージを声にのせてみましょう。響きの深い声質の方は高めの音を、反対に普段から高めの声をお持ちの方は、響きの深さを意識してみましょう。そうすることで、声の響きのバランスが、春らしさを演出してくれることでしょう。

鳥や虫の声、川のせせらぎ、海の波の音。日本人はそれらを左脳で、言語として聴けると言います。それは五十音の特徴によるものですが、そこからも、なぜ私たちが音が高く響きの深い音を好むのかがわかります。音が高く響きの深い音というのは、まさに森の音、海の音、自然の音そのものだからです。