父の音が聴こえる

IMG_5714

父が他界し21年が過ぎて行きました。
長いのかまだ昨日のことのようなのか答えは見つかりません。
でも、時間という概念ではないところに父はあるような気がします。
この原稿を書く機会を得て、
父との短かった時間を永遠に感じられるようになったこと、
書きながら、父の伝えたいことがようやくわかったこと、
あらためて父が僕に託したことなどが分かるようになりました。

僕の中で父はまだ生きているのでしょうね。
記憶は、内容と一緒に声も格納します。

世界でいちばん優しかった父の声。
世界でいちばん怖かった父の声。
今でもカラダの細胞が覚えています。
文字だけではなく声という音として残っていくものがあるのですね。
イルカの親が、産まれたばかりの子に教育するのが
音の波を聴き分け行動することだそうです。

1年が終わろうとしています。
今年の中で心に残っていることを振り返ること。
尊い時間だと思います。
そこにある映像の中にどんな音が流れていたか、響いていたか、
それを一緒に格納すると
忘れることのない記憶のロックが閉まります。

父の写真の後ろに父が晩年に使っていたステッキが飾ってあります。
深緑のコートに真っ赤なマフラーを巻いて
右手のステッキを口づさみながら
指揮棒のように小さく振っていた父を思い出します。
小さな声でしたがよく覚えています。

今年1年、どんな音を、どんな声を聴きましたか?
忘れられない音がありましたか?
僕はありました。

今年も1年間をありがとうございました
みなさんに新しい清々しい年が訪れることを願って。

新響清響

ーーーーー  僕と父と声  ーーーーー
Breavo-para主宰の楠瀬誠志郎が、日本のボイストレーニングの草分け的存在だった楠瀬一途(かずみち)の長男として育った環境について語ります。
メルマガにて好評連載中。
https://www.breavo-para.com/contact/apply_magazine/