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喉が安まる精進料理

 

禅宗の大家に曹洞宗というものがあります。
道元禅師の教えによる規律に厳しい宗派としても有名です。
歩き方。
お辞儀の仕方。
食事作法。
おトイレの仕方まで規律に囲まれて修業を行います。
その中に「五観の偈(ごかんのげ)」と「典座教訓(てんぞきょうくん)」
いう食事訓があります。

僕の友人がその教えとレシピを元に独自の料理法を創り上げようと励んでいる男がいます。
精進料理とはまさに食として完璧に近いクオリティーを持っているとのことなどです。
以前、麻布にあった彼が料理長を努めていたお店。
現在彼は屋久島の方へ料理長として渡っています。
そのお品書きのひとつに喉に生命力を与えるという精進のお料理を出してくれたことがあります。
禅寺は冬場の極寒と乾燥の中、修行僧は声も身体も枯れ果て日々修行を積みます。
その時期に出して差し上げたお料理だったそうです。

お芋で作ったお餅のように伸ばしておうどんのように頂くのですが、そのスープがカリンを干して出汁を取るという手の凝ったお料理。
カリンの甘さと酸っぱさ。少量の生姜と「くぬ」という葉を煎じた一瞬西洋料理とも思えるスープのお味。
品があり、一切余計なお味を付けず薄い金色のスープにもちもちとしたおうどん。
確かに喉が柔らかくなる実感とほんのり顔が赤くなる体温の上昇。

中国から伝わり、日本独時の季節文化によって育てられ築き上げられた精進料理。
現在でも曹洞宗では受け継がれているというお話でした。

また、彼のウンチクを聴きながら頂くので尚更お味が深まったのでしょう。
禅の世界を学んだことがないのでわかりませんが、修行僧を大切にしながら尚且つ一切無駄な味付けをしない規律と手間と工夫を惜しまない労力。
禅というものは広く深いものなのですね。

Breavo-paraがお料理屋さんをもし開店したら間違いなくお出ししたい逸品です。

 

楠瀬誠志郎

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